【韓国語翻訳】ウェブトゥーン翻訳のトライアルについて
こんにちは。韓日翻訳者のshiro(@shironimkorea)です!
フリーランスでweb漫画(ウェブトゥーン)の翻訳をしています。
先日、ある企業のトライアルの結果が出ました。
ダメかもって思っていたところ、合格の電話がきた😭応募自体は100名超えだったけどテストを受けたのはネイティブの十数人だったとのこと。ウェブトゥーン翻訳、最近本当に勢いがある。頑張ります!
— shiro (@shironimkorea) August 21, 2020
担当者さんが電話をくれた際、テストのフィードバックをいただいたのですが、その中でトライアルのテストをチェックする際のポイントなどもお話されていてなるほど~と思うことが多く、ブログで紹介しようと思いたちました。
今まで私がトライアルを受けて感じたことなども一緒に書いています。
ウェブトゥーン翻訳のトライアルに興味がある方の参考になれば幸いです。
ウェブトゥーン翻訳のトライアルテストって?
ウェブトゥーン翻訳のテストでは、だいたい2話分の分量を翻訳します。
違う2作品を一話ずつ翻訳する場合もあれば、同じ作品を2話分、翻訳する場合もあります。
2作品の場合は、ジャンルの系統が違う2作品を課題にしている企業が多い印象です!
トライアルテスト、ここに注意しよう
翻訳会社はどんなことに注目してチェックしているのか、担当者さんのお話や私の経験をもとに紹介します。
・誤字がないか
これは基本中の基本ですね。トライアルでミスをすると、致命的な落第点になる可能性が高いです。
しかしテストとなると緊張したり力が入ってしまうことが多いので、普段しないようなミスが発生しがちです。
そして「自分の翻訳を客観的にチェックする」作業が必要になりますが、これが意外と難しいんですよね。
私も普段仕事で、自分の翻訳をチェックする際、なんだこれは…?というような変なミスや誤字を連発していることがあり、たまに驚きます(笑)
チェックをする際には、時間をあけてチェックすること、声を出してセリフを読むことをオススメします。
・自然な日本語を使っているか
こちらも当たり前でしょ、と思われるかもしれません。でもここのポイントが、最近多くのウェブトゥーン翻訳会社で、ネイティブ(母語が日本語)の翻訳者を募集している理由なのではないかと思います。
一例を挙げるなら、漢字語。漢字語は、そのまま訳しても意味が通じるものもたくさんあります。ただしマンガにおいてはあまり難しい表現は避けるべきですし、堅苦しい印象を与える場合がある場合には他の表現に変えた方がいいですよね。
それから、特に難しいのは効果音ともいわれるオノマトペ。効果音をカタカナにするかひらがなにするかでもキャラクターの印象や、シーンの雰囲気が変わるので慎重に選定することが大切です!
先日のスタディでも話が出たのですが、韓国語の効果音はやたらと슥とか탁/타악が連発されるので要注意。日本語でのオノマトペの引き出しを増やすことが大切です。
あとは意味は通じるけれど、語順を変えるだけでより自然な日本語になることもあるのでそういったところも工夫をするといいかもしれません。
・キャラクターや世界観を理解しているか
テストではせいぜい2話分を翻訳するだけですが、自分なりにストーリーを汲み取り、キャラクターの性格や口調を理解(設定)し、それを翻訳に反映できているか確認します。
口調や設定に一貫性があるか、呼称などが統一できているかもチェックすることが必要です。
・読みづらくないか
ウェブトゥーン翻訳においては、字幕翻訳のように文字数が決まっているといったような厳格な決まりはありません。
ただ、一行があまり長くなりすぎないこと、改行した際にだいたいの文字数をそろえること、句読点を使用しないなど…基本的なルールが守れているかチェックします。(句読点は会社によって使用してもOKなところもありますが、テストでは使わない方が無難だと思います)
・メモをしよう
自然な日本語にするため、ストーリーを自然に進めるため、「意訳」をすることがあると思います。それから訳していて、”これはどういう意味だろう?”と、ストーリー上理解しづらい部分や、場合によっては誤字などがあるかもしれません。
翻訳者としてお仕事をしている場合は担当者に問い合わせれば済みますが、トライアルテストの内容については基本的に回答をしていない会社もあります。
なので原文と意味が大きく変わるような意訳をした場合には、どういう理由で意訳をしたかについて注釈(メモ)を入れましょう。
わからない箇所を、わからないままにしないということですね。これは翻訳者として仕事を進めていくうえでも大切な部分だと思います♪
柔軟に対応できる翻訳者を欲している
ウェブトゥーン翻訳では、本格的な翻訳作業に入る前に「設定集」というものを作成します。
その名の通り、マンガの設定を細かく記したものなのですが、これがかなり重要です。人物の名前はもちろん、性格、口調、人物の相関関係、固有名詞などなど…ひとつずつ細かくローカライズして記入をします。
あとの物語にもつながる重要な内容なので、作家さんや翻訳会社のチェックも入ります。
この形式や内容が翻訳会社によって少しずつ違うので、細かい要求にきちんと対応できる翻訳者を重宝しているとおっしゃっていました。
テストでは翻訳の出来はもちろんですが、そういった部分に対応できる「柔軟性」を持っているか、または今後成長の余地があるかを見ているという言葉が印象的でした。
いかがでしたでしょうか。
韓国内では、最近になってウェブトゥーン翻訳家の募集が本当に増えています!
もしこれから挑戦される方がいらっしゃれば、何かの参考になれば幸いです(*^-^*)