実務翻訳の指南書、「翻訳で、稼ぐ!猫先生の実務翻訳ガイド」レビュー
こんにちは。フリーランス韓日翻訳家のshiro(@shironimkorea)です。
先日、タブレットを買い替えたのですが、これまで使っていたものより画面が大きくなりとても快適になったので、電子書籍を色々と読み漁っています。
その中で翻訳に関する本も色々と読んでいるのですが、今日はある本をみなさんに紹介したいと思います。
翻訳で、稼ぐ!猫先生の実務翻訳ガイド
タイトルの通り、実務翻訳に関して詳しく説明してある本です。10年以上の経歴を持つ著者が、実践で役立つノウハウを教えてくれています。
翻訳の技術に関することではなく、翻訳者になる方法、翻訳者として必要な心構えや、方向性を指南してくれるまさしくガイド本です。
翻訳関係の本を探してみると、映像翻訳や出版(文芸)翻訳についての本を見かけることが多いのですが、実務翻訳だけのガイド本は意外と少ないのではないかな~と思っています。
それから、翻訳関係の本はどうしても英語関連のものが多く、韓国語翻訳とは結び付かない内容のものもあったりするのですが、この本は英語だけでなく他の言語でもマネをできるような内容がとても多いのが特徴だと感じました。
- 実務翻訳について知りたい方
- フリーランス翻訳家の実態が知りたい方
- 翻訳家になりたい方
- すでに翻訳家だけど、初心に返りたい方
こんな人にオススメです。
英日翻訳者の青山万里子さん
著者の猫先生こと青山万里子さんは、英語教師を経て英日翻訳者として活躍されています。
もともと、「女は翻訳でよみがえる」というブログで翻訳の仕事や英語学習について発信されています。
本書はそんな青山さんがどのように実務翻訳者になったのか、どうやって仕事をしているのか、そのノウハウが余すことなく書かれています。
実務(産業)翻訳とは
一般企業や官公庁などで使用されるビジネスや技術に関する文書を翻訳します。
扱う分野は医薬、IT、工業、ビジネス全般、金融、法律、特許など。扱う文書の種類はマニュアルや仕様書、契約書、会社案内、論文、各種レポートなど、さまざまです。「翻訳で、稼ぐ!」より引用
つまり、文芸(出版)翻訳と映像翻訳以外を実務翻訳と呼ぶんですね。
必要なスキル
専門性の高い文書を扱う実務翻訳では、調べ物をせずに翻訳することは考えられません。ネット検索などを使って効率的に調べ物を行うスキルが必要です。
「翻訳で、稼ぐ!」より引用
翻訳家は調べ物屋だ、と言われるほど、とにかく調べ物が多いです!
私も初めて翻訳する分野で、かつ専門性が高い分野は、ネットとにらめっこをしています(笑)実際に翻訳をする作業時間より、調べ物をする時間の方が長いんじゃないか…と思うことも。
専門用語があっているのか、裏取りをとったり、必要があれば日本語や韓国語以外の英語などでその用語を調べることもあります。
翻訳家を目指す方々は、語学のスキルを常に磨いていらっしゃるので、語学力は言わずもがなだと思うのですが、効率的に調べ物を行うスキルを磨くといいかもしれません!
コンスタントに仕事を得る
対応できる分野を増やして仕事の幅を広げると、幅広く対応できる翻訳者として仕事の依頼も増えるでしょう。
私は今でも様子を見ながら新規開拓するようにしています。プロデビューして12年も経っているのにまだ新規開拓が必要なのか?と思われるかもしれませんが、同業者の集まりなどでは、私よりもベテランのかなり有名な翻訳者さんでも常に新規開拓しているという話も耳にします。
「翻訳で、稼ぐ!」より引用
実際に登録している翻訳会社が多くても、コンスタントに仕事をくれるところはあまり多くない、ということも書いてありました。
仕事の増やし方については、私もこれからどうしようかな〜と悩んでいたところなのでとても参考になりました。
先輩の翻訳者さんたちが常に努力してらっしゃる姿は、とても勇気をもらえますね。
好きを仕事に
仕事というものはどんな仕事でも辛いものだ。翻訳の仕事を始める前はずっとそう思っていました。でも、自分に合った仕事ならストレスを感じることもなく、楽しいものなんですね。
「翻訳で、稼ぐ!」より引用
私も、進路に悩んでいた時に韓国語の勉強をはじめ、いつしか韓国語を使って仕事をすることに憧れ韓国で就職をしました。
そしてその経験を生かして、韓国語で、翻訳家になること夢見るようになりました。
まだまだ駆け出しではありますが、仕事をしている時間がとても楽しく、海外で育児や家事に追われる生活の中で、仕事をしている時間が息抜きになっているなと感じる瞬間がたくさんあります。
この本を読んで、改めて翻訳家になりたいと思ったきっかけについて考えることができました。
もちろん、「好き」という気持ちだけでは生計を立てることはできませんが、そこらへんについても、英日翻訳と日英翻訳はどちらが稼げるのか、など現実的なテーマについても紹介してくれています。
読みながら、韓国語翻訳業界にも共通する話題が多いと感じました。
この他にも、スケジューリングやレスポンス、役立つツールなどについて紹介してくれています。よくある質問にも答えてくれていて、なるほど~と思う部分がたくさんありました。
非常に短い本ですが、実務翻訳について基本的で大事なことがギュッと詰まっている本です。
既に翻訳家として活動している方も、きっと初心を思い出すきっかけをくれる本だと思います!
興味のある方はぜひ一度読んでみてください。